読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

アラサーのモチモノ手帖。

持っているものをひとつずつ記録しています。台湾とマスキングテープが好き。

スポンサーリンク

話題の「親なるもの断崖」をkindleで読みました(あらすじ・感想)

話題の「親なるもの断崖」をkindleで読みました(あらすじ・感想)

ネット上で話題になっているのを目にしてとても気になっていました。

 

「醜女(しこめ)の女郎が誕生した…」の目を引くフレーズに、そのおそらく悲惨であろう背景、ストーリーの裏側、作者が本当に伝えたいことを知りたくなりました。

 

新装版 親なるもの断崖 第1部 (ミッシィコミックス)

 

※悲しい話は目にしたくない、という方はこちらの記事を読むのはお控えください。私もたまに読み返すと涙が出るくらい辛いストーリーです。

 

「親なるもの断崖」2015年6月1日発売 kindle電子書籍版

こちらのコミック本は1991年に出版され、すでに絶版になっています。

→人気により7月に新装版が発売になりました。

 

今までは携帯電話向けの漫画サイトでポイント制購入のみ取扱いがあったのですが、読んだ方の「復刊して欲しい」「超大作だ」などの絶賛コメントで丸ごと読んでみたくなり、電子書籍そのものがないか探していたら、kindleで見つけました!

第一部と第二部の2巻とも購入して読みました。

 

先週末から月曜日までkindle本が実質半額だったので、何冊か購入し、「親なるもの断崖」は半額対象外だったので、その時のポイントで購入しました。

関連記事

www.mochimonotecho.net

 

第一部のあらすじ

第一部は、昭和2年4月に4人の少女が青森から北海道の室蘭にある幕西遊廓に売られてくるところから始まり、それからの7年間のストーリーです。

 

松恵16歳とその妹の梅11歳、武子13歳、道子11歳。

まだまだあどけない子どもたちです。

のちの醜女の女郎とは、道子のこと。ほかの少女たちは美人ですがハードな人生、道子は不器量なのですが…一番壮絶な最後を迎えることとなります。

 

遊廓に売られてきても全員がすぐに遊女(女郎・娼妓)になるわけではなく、半玉(芸妓見習い)となり厳しい修行ののち本玉(芸妓)になる子もいます。

 

どちらの道に進むことになっても、辛く厳しい地獄のような日々ですが、必死に生き抜いていきます。

 

最年長の松恵は売られてきたその日に客をとらされ…どの道も過酷です。

生き抜いてもハッピーエンドとは言えない。

 

4人の少女以外の遊廓で働かされている女性たちの嘆きもたくさん描かれています。

 

銭湯の場面で、妊娠してしまい中絶をしなくてはいけない女郎が「女って…なんだべな」と呟いている隣で、一般の女性が3人目を妊娠して「子どもはめんこいもんさぁ~」と近所の女性と笑い合っているというシーンなど、心にズシンと重くのしかかってきました。

 

第二部のあらすじ

第二部は、身請けされて結婚した梅とその子どものストーリーです。

 

一部が貧困により売られてしまった少女・女性たちが抜けたくても抜け出せない苦しみをテーマにしているなら、二部は戦争と家族の愛です。

 

女郎の立場から抜け出せても、その苦しみは続いていく。女郎だったという過去が子どもにまで影響していきます。

けれど、絶望だけではない続き、ラストがありました。 平和とはなにかを考えさせられるような物語です。

二部は、読み進めると悲しくて泣けてきます。

 

まとめ・感想

著者の曽根富美子さんは、室蘭出身です。

故郷に、世の中から消されてしまったかのような、自分の知らない世界があったということに気づき、調べていく内に4人の少女が曽根さんの中に現れてこちらの作品になったそうです。

 

昭和初期の室蘭は、明治40年につくられた日本製鋼所(実質は軍需工場)で栄えていました。

戦前の時代から製鋼所だけではなく、鉄道工事や炭鉱などで朝から晩まで過酷な肉体労働で家畜のように働かされているタコ部屋労働者がたくさんいました。

 

タコ部屋労働者たちの中には「北海道で良い働き口がある」と騙されて連れて来られ、帰ることもできないまま亡くなっていった方も多くいたそうです。

 

昭和32年まで室蘭に実在した幕西遊廓は、この背景のもとで発展していきました。

 

遊廓、遊女と聞くと、だいぶ昔、江戸時代の話だというイメージでいましたが、昭和中ごろまで存在していたんですね。

 

貧困にあえぐ親に売り物として育てられる娘や、お金に困窮したら真っ先に売られてしまう娘がいたという事実は、平和なこの時代に生まれた私からしたら信じられないくらいのショックでした。

 

本のタイトル「親なるもの断崖」の意味、漫画の結末も含めて、こんな時代があったということ、戦争を知らない世代の人たちにもっと読まれて欲しいと思います。